修了生の声

2023年度修了

秋田 志保 さん

大学卒業後に独立し、テレビ番組、雑誌の料理制作やスタイリングに従事。料理教室、食育教室を主宰。2024年3月に本研究科修士課程を修了。2024年4月より研究生として在籍中。

入学の動機

 学生時代から、どのような働き方であれば、自身のやりたいことが実現可能なのか、プロフェッショナルとしてのキャリアを確立できるのかを考えていました。独立後、仕事柄多くの女性と接する中で、ライフイベントの影響を受けやすい女性が、やりがいをもって活躍し続けることの困難さを目の当たりにしてきました。こうしたこれまでの疑問や問題意識に向き合い、以前から関心のあった女性のキャリア形成について体系的に学びたいと思い本研究科への入学を決めました。

研究テーマ

 多様な働き方をテーマに、中年期に起業した女性に焦点を当て研究を行ってきました。日本国内でも国や地方自治体によって、女性に対する起業支援策が講じられていますが、日本において起業という働き方を選ぶ人はごく僅かで、特に女性にとって起業は一般的な選択肢ではないのが現状です。中年期に起業した女性に着目することで、社会の認識にかかわらず、年齢や性別にとらわれない多様な働き方の可能性を示したいと考えています。

今後について

 女性の起業は、女性ならではの視点で経済活動にイノベーションを促す同時に、個人にとっても自己実現や仕事と育児の両立を可能にするという点において、職業選択の重要な選択肢として、今後注目を集めていくと考えています。修士課程における研究では、女性の起業に関して日本特有の論点が明確になりました。修士課程で得た知見をもとに、感じる疑問や違和感をさらに掘り下げ、自由で幸せな働き方の実現に貢献できればと思っています。

メッセージ

 2年間の大きな財産は、大学院の門を叩かなければ決して出会うことのなかった、様々なキャリアや関心をもつ方々に出会えたことです。ゼミや講義では、グループワークを通して議論を重ねる機会に恵まれており、大変刺激を受けました。また専門分野の異なる教授陣による、深い見識に裏付けられた講義では、新たな知識や視座、学ぶことの楽しさを教えていただきました。これらの経験から、質問力や論述力、疑問を構造化して論理的に思考する力を身に着けることができました。仕事との両立は苦労もありますが、同様の環境で励んでいる仲間と励まし合いながら、実りある充実した時間を過ごせると思います。

2023年度修了

中尾 健人 さん

他大学の修士課程(理学)修了後、米国石油会社に入社。現在は国内の再エネ(特に、地熱発電)のエンジニアとして勤務。2024年3月本研究科修士課程修了。同年4月、東北大学大学院博士課程に進学。

入学の動機

 社会人になってから、指定難病を患い、長期入院が必要な時期がありました。その時に、日本の社会保障制度に感銘を受け、自らも貢献したいと考えました。苦労しながらも、社会科学の書籍や論文を読む中で、科学的に幸福を研究する幸福度研究に出会いました。特に、この分野で知られる本研究科の高尾先生の論文に触れ、人々の幸福度と政策・社会制度との関係に興味を持ち、この分野の研究をしたいと考え、入学を希望しました。

研究テーマ

 幸福度研究の中で、自身の職業上の強みを活かした「地方への移住者の幸福度」というテーマに取り組みました。私は再エネの開発を日本全国で行っており、様々な地域の人々と交流する機会が多いためです。以前から気になっていた、「将来田舎に住みたい」と考えている人が実際に移住すると幸せなのかという疑問をもとに、研究を進めました。研究では、複数の地域でのインタビュー調査とWEBアンケート分析という2つの手法を駆使し、地方移住者の現状を探りました。

今後について

 修士論文の結果から、移住者はおそらく幸福度が高いとされました。しかし、新たな課題も浮上しました。この課題に注目し、博士課程でより深く分析・研究を行うつもりです。また、授業やゼミを通じて、介護福祉や越境学習、エシカル消費とった新しい分野に触れ、興味が広がりました。さらに、素晴らしい先生や友人と出会うことができ、議論する喜びを知りました。この経験を活かし、身近なところから情報発信して、何かしらの形で社会貢献したいと思います。

メッセージ

 グループワークを含めたカリキュラムが充実しており、予想以上の自己成長を実感しています。本研究科の特徴として、異なる世代や国籍、職種の交流が多いものの、心理的安全性が保たれています。そのため、自由に意見が述べられ、議論した経験は貴重でした。2年間の中では、仕事と学業の両立が難しい時期もありましたが、先生方や事務の方、そして友人のサポートのおかげで、孤独を感じず、諦めずに研究を進めることができました。とても感謝しています。

在学生の声

修士課程2年(地域・消費生活プログラム)

高 逸清 さん

2019.4-2023.3 大阪市立大学 文学部人間行動学科社会学コース  2023.4-現在 法政大学 政策創造研究科

入学の動機

 学部での研究をさらに深めたいと思い、大学院への進学を決意しました。政策創造研究科には、様々な背景をもつ学生がいます。年齢層の幅も広く、研究を行っていくうえでも大きな刺激となっています。他の大学院の研究科では、社会人とも話す機会が少なく、経験のない学生のみのところが多く、私の研究分野である「雇用」や「高齢者」への理解が不十分な可能性が高いのではと考えました。そのことが、私が法政大学政策創造研究科への入学を志望した大きな理由となっています。

研究テーマ

 エイジズム批判運動により、「老い衰えてゆく無能者」という差別的な高齢者像から、健康で積極的に趣味やサークル活動に参加する主体的な高齢者像への転換が進んでいる。しかし、実際の高齢者の選択肢は限られていて、例えば高齢者の就業は難しく、これは社会的排除に繋がっている。私は、高齢者を少子高齢化による人手不足を補う存在としてではなく、「働くこと」を主体的な選択肢として捉え、「高齢者就業と生活満足度の関連」というテーマを探求したい。

修士課程2年(ESG・サステナビリティ経営プログラム)

古木 謙太郎 さん

株式アナリストとして証券会社および運用会社に約20年間勤務した後、助言会社にて株式価値評価の向上に取り組む上場企業を支援する。2023年度に政策創造研究科に入学。

入学の動機

 株式アナリストおよびコンサルタントとして、財務情報に現れない企業の本源的価値を資本市場はいかに評価すべきか、また、企業はいかにアピールすべきかを考えてきました。そのような問題意識から入会したとある学会で、ESG投資とサステナビリティ経営を研究されている当研究科の小方信幸教授と出会いました。仕事を続けながら教授の下で同じ学術領域に関心を持つ仲間と共に研究できる環境に魅力を感じ、当研究科への入学を決めました。

研究テーマ

 機関投資家が統合報告書を通じて入手したサステナビリティ情報をいかに株式価値評価に活用するかについて研究しています。サステナビリティ情報に対する資本市場の関心は高く、統合報告書はその代表的な開示媒体です。現役のバイサイド・アナリストやファンド・マネジャーへのインタビューを柱とする本研究を通じて、微力ながらサステナビリティ情報と株式価値評価の関係に関する研究の蓄積と、資本市場と上場企業の対話の深化に貢献したいと思います。

博士後期課程1年

宮本 匡 さん

大学卒業後、旅行会社に勤務。現在は日本語教師として、ロシア・イルクーツク国立大学に勤務(日露青年交流センターよりオンライン派遣)。2023 年3月本学修士課程修了、2024 年4月博士後期課程入学。

入学の動機

 本学に入学を決めたのは、修士課程での研究と現職の相乗効果が得られると考えたためです。修士課程では、地域の食文化をテーマに、食を通じてつながる人々の意識にある、文化の伝統保存と地域の開発振興の両義性を考察しました。現在は日本語教師として、学習者への日本語習得ほか異文化理解の活動を実施しています。食の持つ社会的連携性を多文化共生に応用することを目指し、現職と並行しながら本学のプログラムにて研究に取り組んでいます。

研究テーマ

 自身のテーマは、間食行動が果たす役割とその効果に関する研究です。「共食」が示すように、食事は集団への帰属性が高まるものとして議論されてきましたが、その焦点は主に「三度の食事」にあります。そこで、習慣性のない間食の実態を明らかにすることで、従来の食事の社会的意義を再考し、新たな文化的特徴を提示します。この研究を通じて、食の本質性が多文化共生の促進に寄与し、社会の調和と発展に貢献することを目指しています。