経済・社会・雇用創造群

経済・社会・雇用創造群は、マクロ的な経済、社会、生活に関する政策を教育研究する「人口・経済・社会・生活プログラム」、マクロ・ミクロの雇用政策のデザインを教育研究する「雇用プログラム」、および地域社会の課題に取り組むために必要なデータ・情報の収集、分析手法を教育研究する「地域社会プログラム」の3つのプログラムからなります。官庁や自治体の公務員、議員や議員秘書、更にシンクタンク、コンサルティング会社、金融機関、鉄道、通信、電力・ガスなど公的民間企業において、政策立案、経済分析、経済予測などを担当する人材を広く対象とします。

(1)人口・経済・社会・生活プログラム

本プログラムは国や地方公共団体でより専門能力を高めたいと考えている公務員、そして企業、NPOなどでより経済的・政策的課題の解決に貢献したいと考えている専門家、また将来経済・公共分野で専門能力を発揮したいと考えている学生を対象としています。経済学、政治学、社会学、行政学など学際的な立場から、課題の発掘と分析、政策の企画立案とその評価手法を学ぶことにより、民間・公共的分野における政策推進・課題解決に貢献できる専門的人材を養成します。とくに、医療・年金・介護などの社会保障改革、少子化対策、企業の子育て支援、地方の雇用創造などの人口減少への対応政策など、経済、社会、生活に関する現代的課題に即応できる人材を育成するための実践的教育に力を入れます。

(2)雇用プログラム

少子高齢社会における雇用のあり方をどう考えるかは日本が避けて通ることができない課題のひとつであり、働く人々のキャリア形成、職業能力の開発、人事施策のありかた、就業率向上などをめぐって、多くの施策が実施されています。雇用プログラムは、これらを体系的に整理し、現下の重点的な課題について集中的な検討を行うプログラムです。対象者は様々な組織においてキャリア形成支援、人材育成、能力開発、人事管理施策・雇用問題・人的資源管理に関係する実務家であり、また、地域雇用などの担い手となりうる関係者も視野に入れています。本プログラムでは、働く人々のキャリア形成支援、人材育成、能力開発、人事管理施策・雇用問題・人的資源管理を議論し、具体的な検討対象とします。さまざまな領域の実務家が対話、議論をしていくことで、実践的な学びを各人が得るとともに、新しい雇用の方向性そのものを創造し、社会に提言していくことを目指しています。

(3)地域社会プログラム

本プログラムは地域社会を幅広い観点から分析しますが、これは地域づくり政策の全体像を理解する上できわめて重要です。社会保障、防災などを含む地域社会との関わりのある分野について、社会学、経済学、政治学、行政学を超えた学際的なアプローチから研究を進めていきます。本プログラムの対象者は、自治体や国の行政機関における実務家、議員、議員秘書のみならず、シンクタンク、研究所、公共的団体、NGO・NPOなどの地域社会に関心をもつ実務家、職員、研究者であり、実際の政策形成現場における実務経験を前提として、所属する組織・団体のかかえる問題を解決することを目的とする人々です。本プログラムでは、現実の政策・制度や事例を対象とした討議を積極的に採り入れていきます。

文化・都市・観光創造群

文化・都市・観光創造群は地域振興、都市再生、地域活性化を目的として、「都市空間プログラム」、「都市文化プログラム」、「観光メディアプログラム」の3プログラムから構成されます。都市や地域をさまざまな視点から議論し、政策研究・政策デザイン能力を養成します。都市や地域の再生は短期的な政策だけではなく、長期的視点に立って、文化資源や都市空間を再評価しながら進めて行かなくてはなりません。単なる都市再生や地域振興の実務だけではなく、国際的視野のもとで、長期的視点による地域イノベーションを実現する能力の養成が必要とされています。

(1)都市空間プログラム

戦後、スクラップ・アンド・ビルドを繰り返してきた日本の都市において、空間をかたちづくる建築や様々な遺構、あるいは都市文化といった既存のストックを活用しながら、よりよい都市空間を構築・再生することが、今日の重要な課題となっています。とりわけ、都市再生においては、単に合理性や機能性、利便性を追求するだけでなく、都市の歴史や文化を活かすことで、人々に豊かさや潤いをもたらすことが求められています。歴史が積層する都市において、既存のストックを掘り起こすことは、都市のアイデンティティを確立するばかりでなく、観光資源として活用していくことにもつながります。そこで、本プログラムでは、都市に埋もれている既存のストックを掘り起こすことができ、持続可能な都市のヴィジョンを描ける人材を養成します。同時に、都市や地域に関する調査研究を通して、都市景観や都市再生の具体的な政策デザインを担う人材を養成したいと考えています。対象としては、自治体、シンクタンク、NPO、コンサルタンティング会社などのまちづくりの専門家や研究者、そして観光業界の専門家を想定しています。

(2)都市文化プログラム

近年、「文化」を鍵概念としての政策から産業までの幅広いとらえ方をする試みが見られるようになっています。「都市文化」、「社会システム」から「メディア文化」、「異文化共生」、「ポップカルチャー」「集客創出」まで広い領域に関係する学際的アプローチです。都市文化プログラムはそういった広範囲なスタンスで、都市再生、地域再生の新しい視点として有効なものとなるでしょう。グローバル化が進展する中で、改めて地域の文化資源の再確認とともに再活用を図る必要があり、それが地域や都市の比較優位に寄与することになります。単に地域特化するだけではなく、国際的な視野のもとで文化、伝統、歴史をさまざまな角度から比較研究することが必要であり、長期的な視点から、地域イノベーションを喚起する考察を行います。本プログラムは、自立する女性や地域振興の専門家に、更なる知識習得の場として対応しています。また、新しいキャリア形成を求めるサラリーパーソンや起業家にも充分な内容になっています。

(3)観光メディアプログラム

2013年、日本を訪れる外国人の数が1000万人を超えました。観光は日本の重要な産業の一つとなろうとしています。しかしながら現在、観光が注目されているのは産業としてだけではありません。観光は私たちのプライドの問題とも大きく関わっているのです。世界的なグローバリゼーションの進展は、ローカルの価値を活性化させる役割も果たしてきました。現在、観光はグローバルなまなざしによってローカルの価値を再発見する「メディア」になっています。人間は、他者に見られる事によって自分とは何かを確認します。観光者に見られることによって、私たちは社会的アイデンティティを獲得しているのです。このように産業の問題、プライドの問題が関わる日本の観光化は全てが順調なわけではありません。観光化による自然破壊、文化破壊、社会的分裂等、観光は社会に矛盾ももたらします。このプログラムでは観光を科学として客観的に捉え、観光をよりサステイナブルなものにするにはどのようにしたらよいのか考える、実践者、研究者を育てます。

地域産業・企業創造群

地方の地域再生や活性化に対する政策の最重要課題は、地域経済の活性化にあります。地域経済の活性化は、言うまでもなく地域産業の育成であり振興になりますが、そのためには各地域の特性や資源に応じて産業政策をデザインしなくてはなりません。グローバル化した高度知識社会のもとでは、地域分権が進む中で、地域の実情に適合するばかりでなく知的創造をともなう地域産業のデザインが特に必要となります。地域の特性や資源を十分に調査研究するとともに、地域産業といえどもグローバルな競争力を持たねばならず、世界的な視野が不可欠となるのです。地域産業・企業創造群は「地域産業プログラム」、「中小企業経営革新プログラム」、「CSR・消費者志向経営プログラム」の3プログラムから構成されています。既存産業の育成強化に向けた政策デザインを担当する実務家、専門家、研究者とともに、コミュニティービジネス、ベンチャービジネス、NPOとして新産業創出や新規起業を目的とした人材育成を目的としています。企業経営者、自治体、シンクタンク、金融機関、NPO、公共性の強い民間企業、商工会議所、JAなどの担当者の養成が当地域産業政策の課題です。

(1)地域産業プログラム

地方創造が重要な政策となっています。地方における地域経済の振興や活性化の手法は、大企業の工場誘致、道路や施設の土木建築や農業基盤に対する補助事業、あるいは農業補助が中心でしたが、近年、地域産業を産業クラスターとして支援する政策がとられています。地域レベルでも産業創出、育成、強化の支援策がデザインされれば、地域産業の有力な活性化策となり、地域イノベーションの起爆剤となるのです。そのためには地域産業の資源や構造を十分に把握し、国際的視野のもとで政策をデザインすることが必要となります。地域独自で産業政策をデザインできる人材の養成が地域産業プログラムの目標です。自治体、地域の金融機関、シンクタンク、コンサルティング会社、商工会議所、公共性の強い民間企業などの担当者や専門家を主な対象とします。

(2)中小企業経営革新プログラム

我が国企業数の99%、従業者数の約60%は中小企業です。その意味では、中小企業の活性化なくして我が国、とりわけ地域経済の活性化はありえません。しかしながら、現実はというと、多くの中小企業は近年の厳しい経済環境の変化に効果的に順応できず、その約75%は赤字経営に陥ってしまっています。そして結果として、地域経済は総じて活力が低下してきています。一方、地域の起業家活動を示すバロメーターの1つである、開業率は大幅に低下し、逆に廃業率は大幅に増加し、結果として地域は雇用の場、税収の場でもある企業数の絶対減状況に陥ってしまっています。こうした現状を踏まえ、我が国中小企業・ベンチャービジネスの活性化、とりわけ、その「正しい企業づくり」と、そのための経営革新や起業家活動を促進支援するために設置されたのが、この「中小企業経営革新プログラム」です。本プログラムの主たる対象は「中小企業経営者」「後継者」「中間管理職」「起業家」「産業支援機関スタッフ」、そして「公認会計士・税理士・経営コンサルタント・社会保険労務士」等の専門家です。

(3)CSR・消費者志向経営プログラム

CSRや社会価値と経済価値の両立を目指すCSV、消費者の視点に立った「消費者志向経営」は、今日、様々な企業活動の基盤であり、サステイナブルな経済システムやグローバルなSDGsを実現するために不可欠な視点です。CSRは、企業倫理に止まらず、環境、雇用、人権、製品安全、消費者課題など広範な分野に関わるグローバルな規範として機能しています。また、「消費者志向経営」は、単なる顧客志向を超え、持続可能な消費(エシカル消費)に応じた企業と消費者の価値共創の可能性を示してくれます。 こうした考え方は、大企業のみを念頭に置くものではなく、地域の中小企業を始め、行政、NPOなどにとっても必須のものと言えましょう。とりわけ、地域を活性化させ、地域企業の競争優位を実現するためには、CSR・消費者志向経営こそが重要な役割を担うと考えます。 本プログラムでは、経済学や経営学をベースにしつつ、interdisciplinaryな視点から、現代企業社会の直面する諸課題を分析・解明したいと考えています。プログラムの特色は、抽象的な理論や既成概念に捉われることなく、政策を支える現実や実践面の取組みを重視する立場にあります。その意味で、本プログラムでは、企業、行政、大学などで、政策をデザインする専門家や研究者を育成するだけでなく、様々な実践活動に従事し、あるいは自ら起業を目指す方々を幅広く支援したいと考えています。