経済・社会・雇用創造群

経済・社会・雇用創造群は、マクロ的な経済、社会、生活に関する政策を教育研究する「地域・消費生活プログラム」、マクロ・ミクロの雇用政策のデザインを教育研究する「雇用・人材育成・キャリアプログラム」、および地域社会の課題に取り組むために必要なデータ・情報の収集、分析手法を教育研究する「地域社会・介護福祉プログラム」の3つのプログラムからなります。官庁や自治体の公務員、議員や議員秘書、更にシンクタンク、コンサルティング会社、金融機関、鉄道、通信、電力・ガスなど公的民間企業において、政策立案、経済分析、経済予測などを担当する人材を広く対象とします。

(1)地域・消費生活プログラム
私たちの生活は、少子高齢化、デジタル化の進行、COVID-19、気候危機など様々な環境変化の中で営まれています。変化する環境において新たな生活課題が発生する一方で、これまでの制度の歪み等により、構造的に生じる生活課題も多く存在しています。そこで本プログラムでは、地域・消費生活といった自らの足元から課題を設定し、学際的なアプローチにより、公正で持続可能な社会の実現に向けて政策提言できる専門的人材を養成します。本プログラムの対象者は、自治体や官庁の公務員、地方議会の議員、教育関係者、消費者課題やサステナビリティ、エシカル消費に取り組む企業人、消費生活アドバイザーやファイナンシャルプランナー等の有資格者、NGO・NPOなどの実務家、生活課題に関心がある学生であり、これまでの経験を通じて生じた課題について解決策を具体的に考えたいと思う方々です。本プログラムでは、地域におけるフィールドワーク等の実践的な学びを通じ、公正で持続可能な社会の創り手を育成することを目指します。

(2)雇用・人材育成・キャリアプログラム
少子高齢化が進行する中、働く人々の雇用・人材育成・キャリア形成のあり方をどう考えるかは日本が避けて通ることができない課題です。働く人々の人材育成、キャリア形成、人事施策のありかた、就業率向上などをめぐっては、既に多くの施策が実施されています。雇用・人材育成・キャリアプログラムは、これらを体系的に整理し、現下の重点的な課題について集中的な検討を行うプログラムです。対象者は様々な組織においてキャリア形成支援、人材育成、能力開発、人事管理施策・雇用問題・人的資源管理に関係する実務家であり、また、地域雇用などの担い手となりうる関係者も視野に入れています。本プログラムでは、働く人々の人材育成、キャリア形成、能力開発、人事管理施策・雇用問題・人的資源管理を議論し、具体的な検討対象とします。さまざまな領域の実務家が対話、議論をしていくことで、実践的な学びを各人が得るとともに、新しい雇用・人材育成・キャリア形成の方向性そのものを創造し、社会に提言していくことを目指しています。

(3)地域社会・介護福祉プログラム
本プログラムでは高齢化や人口減少が進む地域社会について幅広い観点から多角的に分析し、人々のウェルビーイングを実現することを目指します。ウェルビーイングとは身体的・精神的・社会的に良好な状態のことであり、幸福、健康、福祉などと訳されます。地域社会のウェルビーイングに関連する医療・介護、子育て支援、教育、コミュニティ形成など様々な課題について、学際的なアプローチから研究を進めていき、課題解決の方法を学びます。本プログラムの対象者は、国や自治体、医療・福祉の専門職、シンクタンク、民間企業、NPOなどの地域社会に関心をもつ実務家、研究者であり、地域や組織・団体のかかえる問題を解決することを目的とする人々です。本プログラムでは、現実の事例を対象としたフィールドワークや討議を積極的に採り入れていきます。

(1)都市空間・まちづくりプログラム
日本の都市では、都市空間を構成する水・緑といった自然や建築物、あるいは都市文化といった地域資源を活用しながら空間を構築・再生することが、まちづくりにおいて重要なテーマとなっています。 とりわけ都市政策やまちづくりにおいては、単に機能性や利便性を追求するだけでなく、市民参加あるいは市民との協働を図りながら、計画づくりや具体的なまちづくり(物的施設づくり、生業づくり、イベントづくり、人づくり等)をすることで、人々に豊かさや潤いをもたらすことが期待されています。また現在では、わが国においても都市のアイデンティティを確立するために、都市・地域の様々な資源を“観光”といった視点で捉え、具体的な施策に結びつけていくことも大切なこととして考えられております。 そこで本プログラムでは、地域における様々な資源を活用しながら、持続可能な都市ビジョンを描ける人材、都市や地域に関する調査研究を通し都市景観や都市再生、観光といったまちづくりの具体的な政策デザインを担う人材を養成したいと考えています。対象としては、まちづくりに興味をもち地域で実践していらっしゃる方や国や自治体・シンクタンク・NPO・コンサル・観光業界等のまちづくりの専門家や研究者を想定しています。

(2)都市文化プログラム
近年、「文化」を鍵概念としての政策から産業までの幅広いとらえ方をする試みが見られるようになっています。「クールジャパン」「ビジットジャパン」の流れを意識しつつ「都市文化」、「社会システム」から「メディア文化」、「コンテンツ」、「異文化共生」、「ポップカルチャー」、「集客創出」まで広い領域に関係する学際的アプローチです。都市文化プログラムはそういった広範囲なスタンスで、都市再生、地域再生の新しい視点として有効なものとなるでしょう。グローバル化が進展する中で、改めて地域の文化資源の再確認とともに再活用を図る必要があり、それが地域や都市の比較優位に寄与することになります。単に地域特化するだけではなく、国際的な視野のもとで文化、伝統、歴史をさまざまな角度から比較研究することが必要であり、長期的な視点から、地域イノベーションを喚起する考察を行います。本プログラムは、自立する女性や地域振興の専門家に、更なる知識習得の場として対応しています。また、新しいキャリア形成を求めるサラリーパーソンや起業家にも充分な内容になっています。

(3)観光メディアプログラム
現在、観光は日本の重要な産業の一つになっているとともに、オーバーツーリズム、Covid-19等、様々なリスクの媒体ともなっています。そしてまた、観光の領域は、アート、音楽、演劇、サブカルチャー、スポーツ、宗教、医療、近代化遺産(近代史)、生活そのものといった「異領域」へと広がり、それぞれの領域で新たな文化を創り上げています。観光は、グローバルな産業振興や文化振興としての重要性が増すと同時に、ローカルの自然環境、伝統的な価値観、地域社会などに良くも悪しくも影響を与えています。 それゆえ、ローカルな固有価値と、観光によってもたらされる新しいグローバルな価値や社会の変化をいかに持続的な関係として考え抜くのか、政策立案の哲学が問われています。当プログラムでは観光を科学としてメリットとデメリットを両義的に捉え、次代の観光産業、観光文化の創造に必要なアイデア構想しつつ、地元社会との関係等にも配慮するサステイナブルな観光の在り方を考えます。

地域産業・企業創造群

地方の地域再生や活性化に対する政策の最重要課題は、地域経済の活性化にあります。地域経済の活性化は、言うまでもなく地域産業の育成であり振興になりますが、そのためには各地域の特性や資源に応じて産業政策をデザインしなくてはなりません。グローバル化した高度知識社会のもとでは、地域分権が進む中で、地域の実情に適合するばかりでなく知的創造をともなう地域産業のデザインが特に必要となります。地域の特性や資源を十分に調査研究するとともに、地域産業といえどもグローバルな競争力を持たねばならず、世界的な視野が不可欠となるのです。地域産業・企業創造群は「地域産業プログラム」、「企業経営革新プログラム」、「CSV・サステナビリティ経営プログラム」の3プログラムから構成されています。既存産業の育成強化に向けた政策デザインを担当する実務家、専門家、研究者とともに、コミュニティービジネス、ベンチャービジネス、NPOとして新産業創出や新規起業を目的とした人材育成を目的としています。企業経営者、自治体、シンクタンク、金融機関、NPO、公共性の強い民間企業、商工会議所、JAなどの担当者の養成が当地域産業政策の課題です。

(1)地域産業プログラム
日本再生にとって、イノベーション創生は重要な鍵です。一方、特に地方では少子高齢化、人口減少が進むなど様々な問題を抱えています。とすれば、地方でこうした課題を解決し、イノベーション創生を進めることが、日本全体にとっても重要な政策になります。かつて明治維新の際には地方出身の逸材が中央に集まり、驚異的なスピードで近代国家成立を成し遂げました。今も地方からたくさんの人材が生み出され、世界で活躍しています。こうした人材を維持・活用できる産業社会基盤がそれぞれの地域にあれば、地域発イノベーションが可能となります。本プログラムでは、地域でのイノベーション創生を研究対象として、これまで政府で取り上げられてきたイノベーション政策を分析し、今後の日本再生に向けて地方でどのような政策をとるべきかを議論していきます。そして、実際に地方において何が起こっているか、何を起こすべきかを研究していきます。そこでは、地方自治体はもちろん、中央官庁、地域産業、金融、NPO、スタートアップ、大学など様々なステークホルダーによるイノベーションエコシステムの形成を促していくことが重要です。本プログラムでは地域における産業政策・産業戦略をデザインできる人材の養成が目標です。中央官庁、自治体、金融機関、シンクタンク、コンサルティング会社、商工会議所、地域経済を担う企業や公共性・公益性のある企業などの担当者や専門家を主な対象としますが、国際的に活躍する企業の担当者にも有効なプログラムになっています。

(2)企業経営革新プログラム
本プログラムは、企業が抱える様々な経営課題の解決を研究テーマに、理論と実践の双方からアプローチしています。たとえば、組織の価値観を共有する「理念経営」や、企業の長期的な方向性を指し示す「事業戦略」、新しい市場を創造する「イノベーション」、社会的課題解決に企業経営の視点から取り組む「ソーシャルビジネス」など研究テーマは多様です。 AI、IoT、ロボットに代表される技術革新によって新産業が生まれる第4次産業革命は、大企業だけでなく中小企業や地域経済へも大きな影響を与えています。本プログラムでは、このような第4次産業革命に挑戦しようとする企業経営者、後継者、起業家、経営幹部、中間管理職など企業経営にかかわっているすべての方、またそのような活動を支援する経営コンサルタント、産業支援機関スタッフ等を対象としています。

(3)CSV・サステナビリティ経営プログラム
CSVはハーバード大学のマイケル・ポーター教授らによって、2011年に提唱された概念です。企業が本業を通じて社会課題を解決することにより、社会的価値と経済的価値を創造することをCSV(Creating Shared Value,共通価値の創造)といいます。また、CSVはアカデミアのみならずビジネスの世界においても注目されている概念です。そして、グローバルな事業展開を行う多国籍企業から、わが国の先進的な中小企業に至るまで、多くの企業がCSVを経営戦略の中心に据えています。その理由は、CSVを実践することにより、企業はサステナビリティ経営を実現できるからです。また、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字をとったESG要因を考慮するESG投資家は、CSVを実践する企業に投資するといえます。さらに、企業のCSV実践は国連のSDGs(Sustainable Development Goals,持続可能な開発目標)に結び付くといえます。当プログラムでは、企業を取り巻くCSV, CSR, ESG, SDGs, Purposeなどの様々な概念を体系的に学び、企業の事例を通じてサステナビリティ経営を研究します。このような当プログラムは、事業会社及び資産運用会社の経営者、管理職、社員の方をはじめ、国・地方公共団体、年金基金、NPO、社会的企業(ソーシャル・エンタープライズ)などで働く方達にも有益であると考えます。