2005年を境に、日本の人口は減少傾向にある。一部の都市圏を除いた地域では都市自体も規模を縮小させつつある。今までのように、国の援助に依存した状態では都市が成り立たない時代へと変貌してきた。しかし、その時代の変化に対応できている自治体は少ない。本シンポジウムでは、個性豊かな政策創造研究科の教授方にパネリストとして、それぞれの視点から事例を踏まえつつ「縮小都市の未来」についての講演を行った。
https://chiikizukuri.gr.jp/blog/2010/10/post-47.html
まず、司会者であり、法政大学地域研究センターの特任教授である尾羽沢先生から、「縮小都市の現在」というテーマで人口動向からみた都市縮小について、明治以前の日本や世界の他都市の人口との比較も交えつつ、日本の地方都市における人口減少の現状に関する説明があった。そして、恩田先生からは自らが現在、携わっている長野県の諏訪における中心市街地で増加している空き家について、歴史的な観点を踏まえながらスライドを中心とした内容の報告があった。次に、増淵先生から「縮小都市は『才能』を作る?」というテーマの話題提供があった。縮小都市が生き残るためのアプローチとして、近年よく使われるようになった創造都市との関係から論じたものである。最後に、黒川先生からは、都市が本当に縮小しているのかという懐疑的な視点で、港区界隈における人と高層ビル群の都市開発構想についてのCG映像が紹介された。電車などを地下に配置し、地上に緑地などを増やすといった人が住み良い街を作り上げることで安心して暮らせるようになれば、人口減少は食い止められるという黒川先生独自の観点からの話だった。
パネリスト
黒川 和美 (法政大学大学院政策創造研究科教授)
増淵 敏之 (法政大学大学院政策創造研究科教授)
恩田 重直 (法政大学大学院政策創造研究科専任講師)
司会:尾羽沢 信一(法政大学地域研究センター特任教授)
これから都市が人口減少しつつも豊かな生活を維持出来していくためには、都市の自助努力が必要になる。しかし、流行や他の都市の成功例ばかりを追っていては、その都市本来の良さが出し切れずに衰退してしまうのではないだろうか。
(政策創造研究科 増淵ゼミ 高畑 好未)