当研究科所属 須藤 廣教授の著書
「ツーリズムとポストモダン社会
―後期近代における観光の両義性」
が観光学術学会 学会第二回大会にて
「著作賞」を受賞されました。
●著作賞●
須藤 廣『ツーリズムとポストモダン社会―後期近代における観光の両義性』
(明石書店 2012年)
●講評●
本書は、以下の三点において卓抜した研究成果を挙げている。第一に、ブーアスティン、マキァーネル、アーリなどの観光研究の古典と目される議論を高次に批判検証し、現代日本の観光現象に適用して独自の議論を展開していること。第二に、ギデンズ、バウマン、ベックなどによる国際的に論究される社会理論を観光研究へ接続し、本書の副題にも掲げられた「観光の両義性」という新たな理論的課題を探求していること。第三に、筆者が長らく実地踏査を重ねてきたタイやハワイなどの海外事例、および湯布院や北九州各所などの国内事例について、上記①と②を援用した実証的で説得的な考察を実現していること。
とくに上記②と関連して、観光と他分野の理論的考察が交流する回路を開いて見せたことは、重要な貢献である。この回路は、観光研究者が社会理論などを参照する機会となるだけでなく、逆に観光を研究対象としなかった他分野の研究者が、観光にも注目する機会となることが期待できる。このため本書は、観光研究が展開できる可能性を指し示し、新たな観光理論の構築に多大な貢献を果たしている。(観光学術学会HPより引用)
●書籍紹介●
『ツーリズムとポストモダン社会―後期近代における観光の両義性』
後期近代は「自然」が消失した社会で、そこでは「観光」は市場が全面化するにおける「人工的」なサービス商品としての構造と性格を有する。本書は「観光」がいかに消費主義に席巻されていくのかを考察することにより現代社会を理解しようとする試みである。
●書籍目次●
第1章 『ザ・ビーチ』の憂鬱〈ロマン主義的まなざし〉の陥穽
第2章 地域の虚構化と観光化
第3章 観光文化と他者性
補論 人間はアンドロイドの夢を見るのか?――映画『ブレードランナー』
におけるポストモダニズムの身体と表象
第4章 後期近代の観光社会学へ向けて
●書籍情報●
出版社: 明石書店 (2012/4/4)
価格:2100円
発行日:2012/4/4
【明石書店HP 書籍ご紹介ページ】
http://www.akashi.co.jp/book/b100638.html
【関連リンク:観光学術学会】