当研究科教授 増淵 敏之 先生が
音楽と場所
〜京都から日本のポピュラー音楽文化の
今を展望する
に登壇されます
●詳細●
日時:2015年12月6日(日) 14:00〜17:00
場所:友愛館3Fアゴラホール
●登壇者紹介●
パネル:沖野修也(KYOTO JAZZ SEXTET。DJ/作曲家/執筆家/選曲評論家)
JOJO広重(非常階段。ノイズミュージシャン/アルケミーレコード主宰)
岡村詩野(音楽評論家)
増淵敏之(法政大学)
司会:安田昌弘(京都精華大学)
●概要●
音楽文化におけるレコード会社やマスメディアの影響力が弱体化し、あるいはインターネットの普及による新しい――脱中心化した――音楽の媒介のあり方に注目が集まっているが、その一方で様々な規模のライブの活性化や都市型フェスの流行にみられるように、特定の「場所(そこに生活する人々の個別具体的主観が投影された、空間の一部)」に根ざした音楽活動の重要性は今までになく高まっている気がする。本シンポジウムでは、大会会場の位置する京都に注目し、
1. そこで展開されてきたポピュラー音楽の歴史的固有性
2. レーベル、放送局、ライブハウス、レコード屋など様々なリソースの地理的布置
3. そのなかで音楽を奏で、ファンを動員し、シーンやムーブメントを作ってゆく実践
という3つのレイヤーを重層的に検討する。
『欲望の音楽』『路地裏が文化をつくる!』などの著書で、独自の視点から都市と文化の関係を論じてきた増淵敏之は、都市における様々な音楽リソース(レーベルやレコード屋、ライブハウスやクラブ、テレビやラジオ、雑誌やファンジンのみならず、京都の場合「大学」の存在も大きい)の布置が、どのようにそこでのポピュラー音楽の生産・流通・消費をかたちづくってきたかを、具体的な事例を紹介しつつ俯瞰的に跡づける。
これを受け、JOJO広重は、70年代後半、自分が音楽活動を始めた頃の京都(あるいは関西)について語る。若者たちを取り巻いていたメディア(ラジオ、テレビ、雑誌…)や街(ジャズ喫茶、ロック喫茶、レコード屋、ライブハウス…)が、いかにして”非常階段“をはじめとするノイズやアヴァンギャルド、即興音楽のシーンを醸成していったのかを、当時の音源や映像も交えつつ、自ら経験した物語として振り返る。
KYOTO JAZZ MASSIVE、そして今年から始動したKYOTO JAZZ SEXTETで、世界的な活動をしながらも「KYOTO」という文字をつねに背負ってきた沖野修也は、90年代半ばからの自身の活動のなかで、KYOTOという「ブランド」がどういう意味を持ち、変遷してきたのかを語る。また、みずからも積極的に関わっている「クラブと風営法」問題を通し、音楽する「場所」を提供することの意味についても問題提起をおこなう。
最近、「京都インディ・シーンの今」という記事を音楽批評サイト『The Sign Magazine』に上梓した岡村詩野は、上のような議論を引き受けつつ、京都に蓄積されてきた音楽文化の記憶や痕跡が、今京都で音楽する人々にどのような作用を及ぼしているのかを探る。また、どうしても東京中心で動かざるを得なかった日本の音楽シーンについて、京都(あるいは関西)からなにが出来るのか、その可能性と克服すべき点について展望を述べる。
後半のディスカッションでは、フロアを交えて、そこから逆に、ポストフィジカルかつトランスローカルな日本のポピュラー音楽文化のあり方の「今」を見通してみたい。
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